「……あなた何者なんですか?」


何故か気になるからと、拾ってきてしまったけれど。

宏海はみやびのことを、何も知らない。


そのことに気付き、微かに胸が疼く。


だけどみやびは、やっぱりみやびでしかなくて。

「何者って、萩原みやびだって、もう名乗りましたよね?」

きょとんとした顔で、不思議そうに言われたら、なぜだか一気に脱力した。


「んで、どうして──」

「充様の、ことですか」


宏海により紡がれた名前に、一瞬身体を強ばらせ、それからみやびは頷いた。

「はい」


なぜみやびが彼と知り合いなのだろう、と、疑問は消えぬまま。

宏海は口を開いた。