「あ! 宏海様ぁーっ」

「……どうしてあなたに様付けされると、こんなに違和感があるんでしょうね?」

「それはおいといて! どうしてアイツがここにいるの!?」


息を切らしてみやびが訴えると、ようやく宏海は振り返った。

ちなみに、彼はどこかへ歩いていく途中だったみたいで、今まだ足を止める気はないようだ。


そんな宏海の後を早足で追いかけながら、みやびはついに、忌まわしき記憶とともに思い出されるヤツの名を口にする。

「だから、アイツ……充。何で──」


「……充様?」


お知り合いですか、と。

そう訊ねる宏海に向かって、一応、と答えると、驚いたような表情で、彼はぱたっと立ち止まった。