「……ふっ」


先にそれを破ったのは、屋敷の主であろう男。

つられたように、みやびもクスクス笑いだした。


「……え?」

わけが分からず戸惑うのは宏海。

そんな彼に、企むような笑みが向けられた。


「メイド見習いでも何にでもすればいい。お前が気に入って拾ってきたんだろうし」

実際メイドらを統率するのは、私ではないしな。……と、相変わらず笑ったまま。


「ところで、名前は?」

「萩原みやびです。あなたは?」

「黒崎亮」

「素敵なお名前ですね」

「口調が棒読みだが。……貴女は名前負けしているな」

「あなたは性格悪いですね」