「大丈夫ですか」


呆れたような声と被さり、聞こえたのはくつくつと笑う声。

みやびはぱっと顔を上げて、辺りを見回す。


ほどなくして、部屋の一角にあるソファーに、沈むように──けど今まで気づかなかったことが謎なほどの存在感を放って、優雅に座る人を見つけた。


整った顔立ちに、切れ長の瞳、サラサラの黒髪。

清楚な服装で、爽やかさを演出している……つもりのようだ。


笑っていたその人は、みやびと目が合うと、クスクス笑いをやめてにこりと微笑んだ。


その姿は確かに綺麗なのに、どこか威圧感があって。

みやびはそっと、宏海の陰に隠れた。