『ねぇ!犯人…誰だか分かったわ!』
『最後まで読んだのか?』
『まだ途中よ!でも分かったわ!簡単簡単!』
瞳は何やらメモ帳を破り何かを書き、折り畳んだ。
『何だい?』
『この紙に犯人の名前を書いたわ!この中に入れておくから』
そう言うと、1000円ぐらいしか貯まってない豚の貯金箱に紙を入れた。
『当たってたら何か奢って!』
『よし!いいよ!じゃあフランス料理でもどうだい?』
『本当に!やった!』

……
………


地下からエレベーターに乗り9階にいる婦長室へ向かう。
だが、ほとんどの階で止まるのでイライラしてしまう。まるで各駅停車だ。
この病院はエレベーターが2基しかない。患者や看護師が頻繁に利用するので、いつも待たされるようだ。
3階に止まった時、先ほど見掛けた看護師の水谷恵理がエレベーターに乗った。俺の顔を思い出したようだ、軽く会釈をした。俺も会釈をする。