ロクシャーネがそもそも外に興味をもった理由は、門が開く時に城に来る貿易商の者から聞いた話のせいである。
この城には無い不思議で奇怪な場所や生き物。
例えば、世界は年中は無さがき誇る場所がある。世界には強い男が集まる戦士の村がある。世界には魔法を使って浮遊する国がある。世界には恐ろしい悪魔が住む森がある。などである。毎回話しを聞くごとにロクシャーネは外への憧れを大きくしていった。

その思いがピークに達しようとしていた先月、父であるディーン王が他界した。
最愛である最後の肉親の父ディーン王をロクシャーネは失った。
外への憧ればかりを期待し、父のことをあまりかえりみていなかった自分をロクシャーネは嫌悪し深い悲しみに浸った。

しかし、そんなロクシャーネを他所に城の者は慌ただしく動き始めた。理由はディーン王がなくなった時期である。
ディーン王が亡くなったのはロクシャーネが成人する18歳まであと半前だった。
フォンティアの地下に所蔵されてあった"王則"には、王になるには規則として成人していないといけない。と書かれていた。ロクシャーネが成人するまで半年の空白。
王がいない時期を与えたら反乱分子が活気ずくと考えた城内の中枢の者は1年...いや半年間だけでも隠蔽しようという結論にいたった。

ロクシャーネは悲しみの中にいた。その結論はロクシャーネには遠く聞こえていないようだった。
これにはもう一つ悲しい結論がある。王になるともうほとんど外には出れないのである。
出れるのは外交やなにかの非常時である。しかし、王族が1人しかいないこの現状ではロクシャーネを失うのはあまりにも痛手、ロクシャーネには外に出れないのと等しい未来が待っていた。
それはロクシャーネには絶望的なことであった。
しかし、今のロクシャーネにはそれを考えれるほどの余裕は無く心の奥深くに沈みこんでいた。
それに気付いたのは2週間経ってからのことであった。