静まり返った夜、星々は雲に隠れ暗闇が支配する空が広がる。
その中で1つの大戦艦がゆっくりと目的地に向けて進んでいる。
大戦艦グルード。盗賊団ヘルメスの本拠地。
その中の大きなデッキには数人の人がいる。大人ばかりがいるその中で場違いを感じさせる一人の少年、ロアがいた。ロアの目は輝きに満ちている。誰にも消すことの出来ない輝きを。盗賊団にしてはいかにも場違いだ。

数人、また数人とデッキに人が集まる。そして最後であろう者が入ってきた。頬から首に傷があり、誰よりも威厳のある風貌の大男、カイム。カイムは皆の集まるテーブルに行くと口を開いた。
皆は喋っていた口を閉じカイムに視線が集中する。
『皆、今回はいつもと違う。いつもはどこかの道楽貴族を相手にしていたが今回は違う。簡単に仕留める事はできないだろう。しかし、手に入れれば念願への第1歩になる。目標は王家の宝。ギルガメスへの地図だ。相手は世界最強の国だ。もし成功しても国を敵に回すのは明らかだ。皆、心してかかれ!』
『ティッキ、さっそく作戦の説明だ』
そう言うとカイムは椅子に座る。変わりに立ち上がった小柄な男、ティッキ。
ティッキはテーブルに城の見取り図を広げると甲高い声で話し始めた。
『作戦はこうです。丸ごとあの国と戦っても仕方がない。そこでです。明日は3年に一度の祭り。そう、功労祭です。その日は城の門が開いて平民も城に入れる。』

『チャンスだ!!!』ロアが笑顔で声を上げる。
静かにしろと周りの男たちがロアを軽く叩き、椅子に座らせる。ティッキは苦笑いしながら話を続ける。
『そう、チャンスです。そこでです。それを機に忍び込もうと思います。忍び込むのはティルとロアです。』