初めての合コンは想像とは少し違って得に名前以外の自己紹介もなく

なんとなく
飲みはじめる

もちろん(?)俺は烏龍茶

「飲めないの?もしかして車?」鈴子さんが俺の顔を覗き込む

「…苦手なんです…」
なんだか上手く年をごまかす自信がなくなってきた

「可愛いーっっ」
千絵さんと歩美さんまで俺の顔を覗き込むもんだからますます赤面してうつむく

「ちょっとちょっとー陵のこといじめんなよ」
武本さんがかばってくれてようやく三人の視線から解放されて

烏龍茶をゴクゴク飲み干した

「ってかさ~皆若いよね?」歩美さんがまじまじと俺たちの顔を眺める

「だよね、陵君なんて高校生みたいだもんね」

ごほっ

千絵さんの言葉に慌ててエビチリを喉に詰まらせる

「やだっ…ほら飲んで」
鈴子さんが烏龍茶を差し出す

ゴクゴクゴクゴク
…あれ?

さっき飲み干したはずのグラスには並々と烏龍茶が入っている



「…俺ハタチです」

俺の言葉に女性陣が顔を見合わせる

わざとらしかったかな
感づかれたかも


「…若っ」
鈴子さんが目を丸くする

「だよね、ハタチでもうちらからしたら十分若い!」
歩美さんも驚く

「でも矢城君とタメなんだよね、なんで矢城君に敬語使うの?」

「…!!」
千絵さんの言葉に俺は凍りついた

「れっ…礼儀…正しいんだよな?」またしても武本さんに助けられて俺と矢城君は必死で頷く

「ってか武本は今何処で働いてるの?」
武本さんの高校の先輩だった千絵さんが話しを変えてくれてようやく年の話が終わってほっとした俺は

飲み干す前から烏龍茶を注文しておいてくれたのは鈴子さんだと気が付いて

鈴子さんの顔をそっと盗み見る



黒目がちな瞳と
くるっと巻き上げられた長い睫毛

薄めの唇がグロスで輝いて

照明のせいか頬がふんわりオレンジ色



すっごい美人てわけじゃないんだけど…

きれいだなぁ…



…あ

その時初めて俺は
昨日の本屋のOLが鈴子さんだと気がついた




これが俺と鈴子さんとの二回目の出会い