「大丈夫?」
瑞貴がいつも通り俺を気遣う

「…まだ、現実を受け止められない感じ」
無理して笑っても

やっぱり
瑞貴には見透かされているみたいで

凄く悲しい顔をしてる



「…別に、無理する必要ないよ…好きでいればいいんじゃない?」

「…それは、それで辛い」



もう

どうしようもなく


弱っていた

「…そうだよね」
瑞貴が呟いて



夕暮れの町を
窓から見下ろす



俺たちは

どんなに背伸びをしたって

やっぱり高校生だから

まだまだ未熟で



守りたい女の人すら
傷つけてしまう



そんな
不甲斐ない

自分に
うんざりしながら


それでも

また
朝が来たら

学校に行かなければならない



街路樹が
赤や黄色に色付いて



風が冷たくなって


俺と鈴子さんの
ひと夏だけの恋が




終わった