「どう思う?」
キッチンで夜食用の焼きそばを炒める鈴子さんにまとわりつく

「もー座ってなよ、邪魔っ」鈴子さんが肘を上下させて俺を振り払う



「…はーい」
大人しくソファーに寝そべって鈴子さんのたくましい背中に見とれる



「どーぞ」
「いただきますっ」
マヨネーズたっぷりの焼きそばに食らいつく



「瑞貴君だっけ?別に好きとかじゃないんじゃないかな、そりゃいくら彼氏だからって幼なじみ泣かされたら気分悪いっしょ?」

皿にがっついている俺を頬杖で眺めながら

冷静な分析が鈴子さんらしい


「~ほうらけろはぁ…」
「ちょっ飲み混んでから話しなさい」

鈴子さんがついでくれた麦茶を一気飲みする

「瑞貴は誰が好きなの?」

「私に聞かれても…ってかそんなに詮索しないの~話したくなったら話してくれるんじゃない?…そんな中高生じゃなんだからさ」


いや

高校生だけど



なんて言えるはずもなく


鈴子さんの
大人な意見に素直に頷く



残りの焼きそばを無言でかきこんでいると



鈴子さんが寄って来て後ろから抱きしめてくれる

なんだかちょっと
泣きそうになるのを

こらえて俺は完食した

「ごちそうさま」
鈴子さんの方に向き直って抱き合って

キスをする


「マヨネーズ味だ」

無邪気に笑ったりしないで

破裂しそうだ



なんだか
ここんとこ

色んな事がありすぎて

正直参っていて



色んなむしゃくしゃが
破裂してしまいそうで

ただがむしゃらに鈴子さんを抱きしめる



「ちょっ…どーした?」
鈴子さんが驚いて
でも笑ってくれる



鈴子さんの
笑顔だけあれば



後はもう
何もいらない


今夜も俺は
終わらない夢に

溺れる






この時はまだ


終わらないと
信じていた