次の日

始業式の学校は
やっぱりいつにも増して騒がしく思えて

うんざりだった



瑞貴を見つけて声をかけたけれど何故か上の空で

やっぱり少し心配だったけど

そんな事吹っ飛ぶくらいにぶっ飛んだ噂が舞い込んでくる

寝耳に水とはこのことか

｢陵って愛美と付き合ってるの？｣
クラスメイトの女子達が俺を囲んで問い詰める


｢は？んなわけないじゃん｣

俺の返事を聞いてもお互い目を見合わせて明らかに疑いの目を俺に向ける

｢夏休みの終わり頃､二人で地下鉄乗ってるとこ見た子がいるんだよ｣

あー…あれは違うと言いかけた時
｢愛美も付き合ってるって言ってるし｣

…はぁ～!?
女子達には言い訳もしないまま隣のクラスに向かう

｢愛美｣
隣のクラスがざわめく

｢彼氏登場～ってか｣
伊崎がまた鼻につく言い方をしていたけど気にせず愛美を連れ出す



｢なぁに？｣
とぼけた顔で愛美が首をかしげる
｢何じゃねーよ､付き合ってないのに適当な事言うなよ｣

少しうつむきながらも笑っている様に見える

｢だって付き合いたいんだもん｣

｢もんって…｣

呆れて言葉も出ない

俺は参ったなと頭を抱える



｢とにかく付き合ってないからな､俺とお前は｣
それだけ言って戻ろうとしたら後ろから愛美が抱き着いてきた

｢離せよ｣
愛美の手首を掴んでほどかせ様とする

｢好きなんだもん､陵ちゃんのこと｣
｢俺はお前の事別に好きじゃねーよ｣



愛美には悪いけど

俺は鈴子さん以外の女に魅力を感じる事はもう一生ない気がしてた

大袈裟だけど

本気でそう思ってる

｢それでもいいよ…陵ちゃんがアイを好きじゃなくても…アイやっぱり陵ちゃんじゃなきゃ嫌なの｣

泣いてるし




それでも
うっとうしいと思ってしまう俺は

ひどい男なのかな