それから俺達は毎日欠かさずメールを続けた

俺のつまんない話にも鈴子さんはこまめに返信してくれていたし

たまに仕事の愚痴も俺に話してくれる様になっていた

メールをすればするほど

鈴子さんを知れば知るほど



好きにならずにはいられなかった



会いたくて

会いたくて



とうとう俺は鈴子さんをデートに誘ったんだ



駅で待ち合わせて鈴子さんが見たいと言っていた映画を見た

映画館を出て近くのファミレスで食事をして

凄く楽しいデート



帰り道で告ろうと決心していた俺は駅から鈴子さんを家まで送る



「楽しかった~これで明日からも仕事頑張れるわ」
そういって鈴子さんが俺に笑いかける



鈴子さんの笑顔を見ていると、なんだか決意がゆるんでしまう…

この笑顔を見ていられるのなら

別に恋人同士にならなくてもいいかなぁ

なんて



でもやっぱりオスの俺はいつの間にか鈴子さんに対する気持ちが膨張し過ぎて

そんな淡い想いでは収まらない強い衝動が胸にある事に気付いてしまっていたんだ



鈴子さんを独占したい

自分だけのものにしたい



そんな欲望で
真っ黒な胸の内を

さらけ出したら
嫌われるかなぁ



無言で歩く二人に心地良い夜風が吹いて

いつの間にか
鈴子さんの家に辿り着いていた

「…寄ってく?」
鈴子さんの顔にもう笑顔はなく

試されてる様な気がしたけど



もう我慢出来ないほど上がったボルテージを隠すことはできなくて

俺は静かに頷いた