道端で何やら人だかりが出来ているので、私は近づいてみた。
人だかりをかき分けて中を見ると、何人かの人々が叫んでいるのが見えた。
具体的に何人なのかは分からなかった。それが男性なのか、女性なのかも私には分からなかった。
一人が叫んだ。
「私には、こんな特徴があります!」
肩から突然、太い棘が飛び出した。
「この棘で、近寄る者を突き刺すことができます。他の誰とも違う付加価値でございます!」
取り巻く人だかりからどよめきがあがった。拍手も聞こえた。
もう一人が叫んだ。
「私はこんな特技を持っています!」
突然コマを回し始めた。
「今時、こんなに綺麗にコマを回せる人などいないでしょう。これが私の付加価値でございます。かなり高く値がつくことでしょう!」
人だかりがざわつく。「もうちょっとかなあ……」と呟く声も聞こえる。
それから後も、人々のアピール合戦が続いた。見た目の美しさをアピールする者、取得してきた資格をアピールする者、経験をアピールする者、押しの強さをアピールする者……
皆、一様に同じように、自らの売り、付加価値、他との違いをアピールしていた。
私はふと、自分も参加したい、という強い欲求にかられた。
私は元来、目立ちたがりな性格で、多くの人の前に立って何かをするのに密かに憧れていたのだ。
今の状況は、それを実現するのに最適だった。
私は勢いよく躍り出た。そして叫ぼうとしたその時……
「君は駄目! だって明らかに他と違いすぎるから! もっと分かりやすい、口当たりの良い人しか参加しちゃいけないの! ほら、どいてどいて」
全身真っ黒の服に身を包んだ男二人に、私は抱えあげられた。人だかりの外に放り出された。
私は背中からまともにコンクリートに打ち付けられた。
私は真っ青な空を見ながら思った。
しゃしゃりでるんじゃなかった、と。
人だかりをかき分けて中を見ると、何人かの人々が叫んでいるのが見えた。
具体的に何人なのかは分からなかった。それが男性なのか、女性なのかも私には分からなかった。
一人が叫んだ。
「私には、こんな特徴があります!」
肩から突然、太い棘が飛び出した。
「この棘で、近寄る者を突き刺すことができます。他の誰とも違う付加価値でございます!」
取り巻く人だかりからどよめきがあがった。拍手も聞こえた。
もう一人が叫んだ。
「私はこんな特技を持っています!」
突然コマを回し始めた。
「今時、こんなに綺麗にコマを回せる人などいないでしょう。これが私の付加価値でございます。かなり高く値がつくことでしょう!」
人だかりがざわつく。「もうちょっとかなあ……」と呟く声も聞こえる。
それから後も、人々のアピール合戦が続いた。見た目の美しさをアピールする者、取得してきた資格をアピールする者、経験をアピールする者、押しの強さをアピールする者……
皆、一様に同じように、自らの売り、付加価値、他との違いをアピールしていた。
私はふと、自分も参加したい、という強い欲求にかられた。
私は元来、目立ちたがりな性格で、多くの人の前に立って何かをするのに密かに憧れていたのだ。
今の状況は、それを実現するのに最適だった。
私は勢いよく躍り出た。そして叫ぼうとしたその時……
「君は駄目! だって明らかに他と違いすぎるから! もっと分かりやすい、口当たりの良い人しか参加しちゃいけないの! ほら、どいてどいて」
全身真っ黒の服に身を包んだ男二人に、私は抱えあげられた。人だかりの外に放り出された。
私は背中からまともにコンクリートに打ち付けられた。
私は真っ青な空を見ながら思った。
しゃしゃりでるんじゃなかった、と。