「―――私ね、少し変な力があるの。
人の『悲しみ』が『唄』になって聴こえてね、」

1人1人が奏でて行く唄。
それは悲しみによって違っていて、頭に直接聴こえてくる。

「学校でも皆の唄が聴こえてきちゃうからいつも音楽聞いてて、
だから友達もいないの。

今日、ここに来たのも実は
その唄のせいなの。」


最近ずっと頭に響いていた。

夜も眠れぬ程に。





「―――――葉山くんは、一体何が悲しいの?」

葉山の身体が一瞬震えた。

そしてゆっくり歌希のへ視線を移した。

「あぁ、ただ悲しいんじゃないね。誰かに許してほしいんだ。」



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