それから話はするけど、お互い何を言ったらいいのかわからないから、沈黙が多かった。


そんな沈黙の中で、高木さんは、ずっとさっきのお釣りの1円玉を指先で転がして遊んでた。


(か…可愛い!!)


なんて可愛いの!?
見てるだけで癒される…っていうか、楽しいっていうか…。とにかくどストライクです。


そんなことを考えながら、しゃべる。うちは、ちらちらと時計を見ていた。別に深い意味はないけど…なんか、癖で。


「時間気になる?」

「えっ?」

「いや…、時計見てるから…楽しくない?」

「いやいや!違いますよ!!何時間たったのかなぁ…と思って。」


(楽しくない?)

え、どういうこと…?高木さんは楽しくないんかな?…ってか、楽しくなるようにしてくれてんねや…!!?



うちの勘違いでも、もうそういう風にしか考えられへん。
うちの頭ん中は、都合よく良い方向に考えるようになってしまったみたい。
高木さんの事。…だけにね。