どくん、どくん。
心臓が嫌に鳴った。
何かの発作か、又それに近いだろう感覚が体に広がり私を蝕む。
また、だ。
意識が朦朧として、どこか違う世界に引っ張られて行くような。
そんな気さえした。
いつも夜になるとこれに苦しむのだ。
負けないように、意識を連れて行かれないように。
私はいつもの薬に手を伸ばした。
カタカタと小刻みに震える手で薬をとる。
瓶に入ったそれ。
所謂安定剤を口に運んで、かみ砕く。
がりっと割れる音がすると同時に口に甘い味が広がって。
それを飲み下すと安心からか、ため息が出た。
「、…っ…。」
でも、まだだ。
薬が効くのは30分後。
それまで堪えなくてはいけない。
この悪夢にも似た、現実に。
抜け出したいと何度願って、何度絶望しただろう。
気の遠くなる程の年数を、私は生きてきた。