──翌朝。


制服に着替え、リビングへ向かったおれを待ち構えていたものは……。


「──げっ!またこれかよ!」


普段カレーの時とかに使ってるでっかい皿にドドンと盛られた、きな粉餅。

餅の上にはご丁寧にミカンまで乗せてある。


ミカンにきな粉が積もってるのを見た瞬間、おれは自分の堪忍袋の尾が切れたのがわかった。


「母ちゃん!おい母ちゃん!」

「あら、おはようユウイチ」

「はよ。……じゃなくて!また朝飯きなこ餅かよ!?正月明けからもう二週間近くずっと同じじゃねぇか!いい加減飽きたんですけど!?つかなんだよこのミカン!?いらねぇよ!鏡餅かよ!」

「あら、文句言うならそっちの空豆でも食べたら?ふふふ」

「…………」


おれは素早くお膳の前に座り、ミカンを退け、きな粉餅にがっついた。


絶対見ねぇぞ。

視界の隅に映ってる空豆の容器なんか、絶対見ねぇかんな。


ガツガツガツ、びょーん。


くそっ餅が伸びる。


【──それでは次は、『今日の運勢』!ルーレット、スタートォ!】