「く、来るな……!!」

「照れちゃってまッ、そんなトコも、可愛いケドォ」


ジリジリ近寄ってくる茶色い塊と一定の距離を保っていたおれだったが、やがてそれも背後の壁によって阻まれた。


吐き気を促すような、甘ったるいチョコの匂い。


目の前に……アスカ。


「ウフフフフフフフフ…………すき」

「や、やめ……」

「ユッチ」


息のかかる距離まで、アスカの顔が近づく。


……逃げられない。


「ウチを……食・べ・て」

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!──……」





バレンタイン・パニック【完】