“下にある荷物”をおさげで引っ張りあげるアスカ。

まるで引っ越し業者だな……。


「ウチの、手作りチョコだよォ」


目の前にドドンと置かれたのは……人型のチョコ。


でかい。


アスカと並んだら、ほぼ同じ身長(アスカは162Cm)。


「こ、これは…………誰」


マネキン以上の出来だ。


顔は綺麗に整っていて、体のパーツもしっかりしている。


まるで生きてる人間が立ってるみてぇ。

茶色じゃなければ。


……なんでこんなに上手いの?


「アハッも〜ユッチったらァウチに、決まってンじゃぁん」

「……えぇ!?」

「わからないなんて……愛が、足りないわアスカちゃん、ショック」

「ご、ごめん……」


おれは謝りながら、マジマジと人型チョコを見た。


パッチリした瞳。

ツンと高い鼻。

桜の花弁のような唇。


そして……ボン・キュン・ボン。


「あー……言われてみれば、アスカに見えないことも……」


見えねーよ。

まるで別人だよ。


誰だよこの美少女。


髪型だけじゃん、同じなの。


てか顎はどこいった、顎は。

お前のチャームポイントは。


顎。

顎。

顎。


「昨日、それ作ってたから、一緒に帰れなかったのォ」

「あぁ……。よくこんなにいっぱいGETできたな、チョコ」

「アハッおととい、いっぱい買いだめしておいたからァ」


……ん?