「……一つ、聞いてもいいッスか?」

「なぁにユッチの質問なら、なんでも答えるよン」

「……いつまでフランスパン食ってんの?」


おれの質問に、アスカ(仮)は小首を傾げる。


怖いって……。


「もぉ、食べてないよあんなの、ユッチ助ける時に、捨ててきたしィ」

「じゃぁ、大根か?」

「ハァさっきからなに言ってんの」


だって!

だって!


なんだよ、その顎(あご)ぉぉぉぉ!!


フランスパンじゃねぇのかよ!

大根じゃねぇのかよ!


「マジで、アスカなのか……?」


アスカ(仮)の顎は、推定縦20Cmくらいはある。


長い。長すぎる。


運ばれてる時におれの腹に食い込んでいたのは、これだったのか……。


「そぉだよユッチに会いたくて、A県から引っ越してきたのォ」

「え……じゃぁ、あのメール……マジだったのか?」


事故る直前、アスカは


【今から、ユッチに会いに行くから】


なんて恐ろしい文を送ってきやがっていた。


あれ、本気だったのか……。


『今どこらへんにいるか』なんて聞いてきていたのも、納得できる。


「そぉだよンでも、思わぬ出会いだったね運命じゃァアハッ」


はぁぁぁぁ!?

ふっざけんな!!

こんな悲惨な運命が、あってたまるかよ!!