病室が揺れるくらい、叫んだと思う。


おれは思わず起き上がろうとしてしまい、信じられないほどの激痛に襲われた。


ベッドの上で呻いていると、生き物の手がビュンッと勢いよく伸びてきた。


「わぁぁっ!!」

「ちょ大丈夫」


パニックを起こすおれの腹を、ゴツゴツしたでっかい手が控えめに撫でる。


こいつが、アスカ……!?

あのブリッコのアスカ……!?


……信じらんねぇ。


マジで、冗談だろ?


おれは絶句したまま、腹を撫で続けるアスカ(仮)を見つめた。


ゴワゴワのおさげ。


一応手入れはされているが、幅2センチはあるぶっとい眉。


頬肉に圧迫されたせいでここまで細くなったのだろう、糸のように細い目。


形の悪い鼻からは、荒々しい空気が暴風の如く吐き出されている。


でっかく裂けたような口に、分厚いカサカサの唇。



でもここまでなら、まだギリギリ人間と思える。


最大の問題は、さっきからおれの視線を食い付けて離さない、この部分……。