「……許せない」

「え?」

「ウチを騙してたのね……」

「ア、アスカ……?」


ただならぬ負のオーラを察知し、オレは一歩後退った。


俯いたアスカはどんな表情をしているか見えないが、ギュウッと拳を握り締めている。

肩が僅かに震えているようにも見えた。


……あれ?

これってひょっとして?

なんかヤバめな感じ……?


額に冷や汗が浮かび上がる。


「許せない…………」


ドスのきいた声が、地響きのように鼓膜を刺激する。


ヤバイ。
これはヤバイ。


「ご、ごめん……」

「…………」


無言!!

怖ぇぇぇぇぇぇぇぇ!!


黒い渦がアスカの背後を取り巻いている。


「…………」

「…………」

「……ア」

「…………」

「……アスカ、ごめん」

「…………」

「オレなんかより、良い奴いっぱいいるって」

「…………」

「アスカ、か、かかか可愛い、し……」

「…………」


隊長、反応ありません!!

うんともすんとも言いません!!

隊長!!