吐息がかかり、固く目を閉じる。
流れる雲も、降り注ぐ月の光も動きを止めた。
柔らかなそこから伝わる熱だけが、夢ではないことを教えてくれた。

『やっとつかまえたと思ったのに・・・』
「・・・え??」
『ボクは、もう帰らなきゃいけない』
「帰るって・・・月に??」

静かに頷くルナ。
ルナは月の精。いつまでも地球の空にいるわけにはいかなかった。

「行っちゃうの・・・??」
『きっと・・・会いに来るから』
「きっと・・・??」
『・・・絶対に』

寂しそうに微笑み、立ち上がるルナ。
シャイニーは零れそうになる涙を必死に堪え、手を引かれるままにルナについて行く。

――すとん

「ルナ・・・」
『シャイニー、君の笑顔が見れてよかった』
「私も・・・ルナに会えてよかった・・・」

どちらからともなく目を閉じる。
触れるだけのキスは先ほどより長く、涙で少ししょっぱかった。