「だ、だれ・・・?!」
『ボクは月の精』

月の精なんて・・・
そう考えかけ、首を振る。
今は、余計なことを考えるのはやめよう。

「な、名前は・・・??」
『・・・ルナ』
「何しに・・・っ」
『君をさらいに。おいで』

気障な台詞とともに手を引かれ、窓枠を蹴る。
すると、いとも簡単に二人の体は空に浮く。
不安定な感覚に、シャイニーは固く目を閉じた。

『シャイニー、目を開けてごらん?』
「だ、だって・・・」

恐る恐る、目を開けてみる。
すると・・・

「う、わぁ・・・飛んでる!!すごーい!!!」

冬の空は流石に寒く、吐く息は真っ白に染まる。
しかし、空を飛んでいることにはしゃいでいるシャイニーには、寒さなど感じなかった。

『・・・シャイニーが笑った』
「え・・・??」

ルナは微笑み、流れてきた雲に座る。

『君は、ずっと悲しそうな顔をしてた』