肩までかかった美しい黒髪を

春の暖かい風になびかせている

その横顔が

とても印象的だった。

窓から入る朝の光が

その女の子を

より一段と眩しく魅せていた。

<綺麗やなぁ>

正直な僕の第一印象だ。

けれど、

その時は僕の頭には

単に同じクラスの

隣りの席の綺麗な女の子。

そういう具合に

彼女の存在を認識した

ような気がする。

それまでの彼女についての情報はといえば、

顔は見たことがあるようなないような、

名前も聞いたことがあるようなないような

そんな程度だった。