そして、恵一の唇が。

あたしの唇を塞いだんだ。




二人で、隣同士の家に帰る帰り道。

『俺、馬鹿だなぁ』

ふと呟く恵一。

『こんなに可愛いのに。

 今まで千秋をほっといて。

 もし誰かに取られてから

 気付いたらどうするつもりだったんだか…』

そんな嬉しい事を言われても

照れる事しかできないよ。

『ばか…』

あたしは小さくつぶやく。

『あ』

何かに気付いた恵一。

『?』

あたしはわからない。

『勇一に 本当に千秋がおねーちゃんになるぞ、って
 言っておかないと』

『もう、ばか…』

あたし達は、笑いながら歩いた。

隣同士の、自分達の家へ。







【完】