クライアントの社長の
顔色が冴えない

再建計画を
うまく描ききれて
いないのだろう

幹部達と席に着く

再建計画書を差し出され
一瞥する

やはり・・・

社長は徹夜で
考えたのだろうけど

この世界的金融不安で
どの業界も青色吐息だ

この計画では無理がある

ホンシャでは承認されないだろう

そうなると
「焦げ付く」事になる

ホンシャが一番嫌う言葉だ

昨日も部長から言われた

「この不況は底が深い
うちには再建の見込みのナイ
会社に関わっている暇はない」

それはそうだ、
うちでさえ
業界再編の波に
飲み込まれないとは
限らない

そうなれば、
自分の職も安泰いとはいえない

人のことに構っている
余裕などない

「危ない先は
おれ達が引き上げなくても
いずれどこかが引導を渡す

その前に、
引き上げないと
どうに無ならなくなるぞ」

部長の言う事には
納得できた

クライアントの社長が言う

「どうでしょう、
これでうちとしては
イッパイ、イッパイなんですが

これでなんとかしてもらえないと
50人の社員が路頭に迷います

お願いします」

「金を貸すのが
うちの商売ですが
この計画じゃ
どうにもなりませんよ」

私の言葉に
会議室は静まった

そして、
計画書を持ち帰って
ということで
ミーティングは終った