隣を歩いている佐野亮太を盗み見る。
「あぁ、良く見えるんだよね。
俺の席からさ、坂井さんが」
「席?」
「そ。知らない?
俺って坂井さんの斜め後ろだよ」
そんなに近かったんだ・・・・
佐野亮太から目線をそらして、
ははは、と苦笑い。
だってそんなに近いのに知らないって、
どんだけ周りを気にしてないのよあたしは。
「ほんで」
声がして、不意に佐野亮太を見る。
「髪が綺麗だっていっつも思ってた」
「へっ・・・・・」
「それって染めてんの? パーマ?」
「あ、いや。もともとこんな色で、
くるくるしてんのはくせっ毛で・・・・」
「へぇ、似合ってる可愛いよ」
なっ・・・・・・・
自分の頬がほんのり赤くなった気がした。
この人は簡単にこういうこと言っちゃう感じ?
勘違いする子多いんじゃない?