“思い出”・・・・・・・
涙を拭って佐野亮太を見る。
あたしと目があうと、
フッと微笑んで話を続けた。
「誰かを振った奴は、
少なからず相手に悪いと思うもんだ」
佐野亮太の言葉が、
すっと胸に入ってくる。
本当かな?って、そう思える。
「もう、大丈夫?」
「ふふっ、大丈夫だよ」
そしてあたしは、
今日佐野亮太に会って初めて笑みを零した。
「ねぇ、なんであたしだってわかったの?」
帰り道、家が近いと言ったから
途中まで一緒に帰ることにした時。
ふと思い出したことを聞いてみた。
佐野亮太はあたしの背後から現れた。
という事は、
後姿であたしだとわかったということだ。