あまりにもにっこり笑うから、
さっき乾いたはずの涙がまた顔を出す。
「ココじゃなんだしね」
そう言って、
人から見えない駅の陰まで連れて行かれる。
不思議と警戒はしていなかった。
“こんな人気のないところ・・・・”
あたしなら絶対そう思うはずなのに。
きっと佐野亮太は、
そういうことを感じさせない
“何か”があるんだ・・・・
駅の陰には1つの古びた椅子みたいなのがあって、あたしはそこに座らされた。
佐野亮太は近くの壁に背中を預けて、
ポケットに手を突っ込み下を向いている。
そして
「何があったのか、教えてくれる?」
また優しい笑顔でそんなこと言うもんだから、
あたしの目からは、
さっきよりもたくさんの涙が溢れてきた。
きっと、中学の卒業式から
ずっと我慢してたものも。