「きゃはは! まじぃ~?」
「マジマジ!」
数メートル先にいるにもかかわらず、
大声でしゃべってるから会話がよく聞こえていた。
入学式早々、もう女連れか。
そんな卑屈なことを思いながらも、
あたしの足は動かなくなっていた。
今すぐ後ろを向いて、
走って家まで帰りたい。
でも、足が動かない。
こっちに来ないで・・・・・・・
そんな願いも届かず、
2人はどんどんあたしに向かって歩いてくる。
俯いて、ぎゅっと硬く目を閉じる。
「そんでー、その女がさー」
「えー? なにぃー?」
「もうマジ固っいの!!
お前何様だよッ! ってぐらい」
「きゃはは! そゆのマジウザいよねぇ~」
「だろ~そんで・・・・・・・」
あたしの近くに来たとき、
彼の話が途切れた。
そっと顔を上げると、
まじまじとあたしを見つめた目。
「え・・・・・・坂井?」