「……ママ」

僕がこういうと、ママは笑った。
喧嘩したのに、ママは笑った。
僕は涙が流れた。

「ごめんね、ぼうや」

ママにしがみついた。
卵焼きのにおいがした。

大好きだよと何度も言うと
ママは愛おしく僕を抱き締めた。

「ママは、僕が愛しいの」
「ええ、そうよ」
「僕を愛してるの」
「もちろん」

卵焼きのにおいに顔を埋めた。
ママの卵は、甘かった。