セントラルパークを目指す私は、
まるで神様が私を祝福しているみたいに晴れ渡っていた空と、
雛子が名所を書き込んでくれたマンハッタンの地図とを交互に見ながら
タイムズスクエアを抜け、高級ブティックが立ち並ぶ五番街を北上した。

ニューヨーカーたちはいくつものショッパーを腕に提げて颯爽と歩き、
その姿はどれもすがすがしくて、自然と背筋が伸びるように気持ちが引き締まっていった。

左を見ても右を見ても映画のワンシーンのような街並みに、
私は不意に時空乱流にでも巻き込まれて辿りついた様な、
私がここにいることは世界中の誰も知らないような、そんな感覚に陥った。

見上げた空だけは【日常】と同じ色をしていて、
それだけが全てを平等に覆っていた。