【箱】の事を話しているうち、すっかり職員室での出来事を彩紗に伝えるのを忘れ、 話は恋愛のことに及び、私は最近見た慶ちゃんの様子を彩紗に話していた。 更に伝えることだけでなく、私の中の茉莉恵に対する、濁った感情さえ忘れさせてくれた。 少し軽くなった心に気付いてバスに乗ると、 公立高校のカップルが手を繋いで二人席に寄り添って腰掛けていた。