「援助交際とか、言いたいんですか?」

私が言うと大袈裟に驚いた担任の表情からするに、
どうやら聞きたいことの核心を得たようだった。

「いや、いつも正門近くに迎えの車が来ているみたいでね、駅前では、
 大分歳の離れた男性と腕を組んで歩いている姿を見た人もいるみたいなんだ」

私は少し考えたふりをしたあと、担任の目をまっすぐに見て言った。

「そういえば、新しいパパができるかもって言ってました。
 ママの彼氏と仲がいいって、その人の話ならよく聞きます、
 お医者さんらしくて、茉莉恵は病弱だからよく薬の事とか相談するって」

すると担任は頭をかいていた右の手の動きを止めると、

「あっそうなんだ、そうかそうか。
 いや、出席状況も悪いから、心配はイロイロあってね。
 ただ、噂には尾ひれがつくものだから、また、何かあったら教えて欲しいんだ」