「ぬりえさん、お言葉ですが秀才ではなく天才です、私」

ふと横を見ると隣の席は空で、彩紗はまだ登校していないようだった。

「あ~眠い。夕べ寝れなくてそのまま来たら、7時半には着いちゃって」

茉莉恵はそう言うとプリントと蛍光ペンをハタリと机に置き、鞄の中を漁り始めた。

精神衛生上なんの問題もなく育った私は、夜が眠れない、とか
食欲がない、とか便秘とか情緒不安定とかそういう類いのものを未経験だった。