私がエレベーターを待っていると、開いたドアから慶ちゃんが降りてきて、

「おう」と言って少し笑った。

それがとても嬉しかったのに、無愛想に頭を下げることしかできない私は、
そのままうつむいてエレベーターに乗り込み、5階のボタンを押してため息をついた。