【新井 雛子】

私はそう書かれた名札を見てから、

「柳 桃子です、よろしく」と言った。

雛子は声を出さずに微笑むとすぐに下を向き、私たちは
それから入学式が終わってそれぞれのクラスに戻るまで、
一度も話すことはなかった。