「あ、そう言ってなかったけど私、先月からひとり暮らししてるの」

茉莉恵のその言葉に驚き、階段を上る女の子と目を逸らした。

彩紗が「え!まじ」と言うと、

「ママにバレちゃったのよね、シンちゃんとのこと!
 で、絶縁されてね、パパに部屋借りてもらったの」

と茉莉恵は携帯をパタンと閉じて言った。


友哉が気まずそうに笑って、

「だからシンさんがいない時は、俺と涼とで、
 けっこう溜まってるよ、夏休みだし、まぁ遊ぼうぜ!今年は!」

と言った。

茉莉恵は友哉にもたれかかり、

「中高一貫の私立校に通うモノたちの特権だよ?受験がないって!
 謳歌しましょう、ああ、かわいそうな受験生たち!」

と言っていつものように眉をあげて笑った。