ふと涼くんとタケルのほうを見ると、視線が違う場所に向けられていた。
その視線の先には、彼らと同じバッグを持ち、
同じネクタイと柄のスカートを履いた女の子が二人こちらを見ていた。
タケルが友哉を見て、
「俺ら、先行くわ」と言ってバス停のほうへと歩いて行った。
その後をついて行った涼くんが私を振り返ると、
「桃子、夜、メールするね!」と言って手を振った。
私の「うん」が聞こえたかどうか分からなかったけれど、
涼くんが微笑んだこと、ふと呼び捨てにされたことが嬉しかった。
彼らと同じ制服の女の子たちは、私たち4人を見ながら駅の階段を上って行った。