私がトイレの個室から出ると、後から茉莉恵がやって来ていた。
「どう?」と聞かれたその意味は聞かなくても分かった。
答えは決まっていたけれど恥ずかしくて「うーん」と言った私に、
「かっこいいでしょ」と笑って言った。
いつもの小ばかにした様子でも、呆れた様子でもなく、笑って言った。
私はなんだか嬉しくなって「うん」と笑い返した。
茉莉恵が個室に入るのを待って鏡で自分の顔を見ると、
予想以上に浮かれた自分の表情がとても照れくさかった。
目を見開き、下瞼にぼやけたマスカラを軽くこすって、
スキップするような気持ちで部屋に戻った。