「ミヨちゃん、よく聞いて、きちんと答えてね」

「は、はい」

グラスのジュースを飲み干し、深呼吸をして、ユキさんは私の肩を掴みました。

「この携帯に、マキトのメモリーを入れたことは?」

「その携帯にしてからはありません…けど?」

質問の意味がよくわからず、私は不思議そうに答えます。

「一度入れて消したとか、別にマキトっていう知り合いがいたりは?」

「ないです。え、なんなんですか?」

「これ」

ユキさんは私に向けて携帯を開きます。自分のと、私のと、ふたつ。

「これアタシの携帯ね、で、これ昨日きた迷惑メール」

「はぁ…」

「こっちがミヨちゃんの携帯、で、これ」

ユキさんが指し示すのはマキトの名前です。