清水は息苦しくなり、肩で大きく息を吸った。
大雅がそれを見て瞳を細めた。

『明日の朝、改めて返事を。
とりあえず今日はゲストルームでお休み下さい』

『ゲストルームは安全?』

心配顔で都が問う。

『もちろん。ほら、都さんもそろそろ寝ないと。
明日、学校でしょう?』

『はぁい』

都は目をこすりながら、とこんと椅子から飛び降りた。
躊躇わず、清水の傍に近寄りその耳にそっと言葉を注ぐ。

『パパと仲良くしてくれる?』

清水は思わず相好を崩す。

『ええ、約束します』

よかったぁ、と、微笑むと都は踵を返して扉の方へと向かう。

『姫はなんて?』

紫馬の言葉に、くるりと振り向いた。
真っ直ぐな黒い瞳が、愛らしく清水を見据える。

『おじさん、言っちゃ駄目よ?』

清水は唇を緩ませる。

『いいよ。それから、おじさん、清水って言うんだけど』

『分かった。清水、おやすみなさいっ!』

よほど眠かったのだろう。
その後は振り向きもせず、差し出された大雅の手を掴んで寝室へと戻って行く。