そうだった。本当は、マリとカイジ、アキとケイゴ、がカップルだった。でも、ジルは、どうして分かったのだろう? その疑問をぶつけてみると、彼は、
「見りゃだいたい分かるよ」
 と、吐き捨てるように言った。嫌悪感を露にしている。
「もしかして、ジル、道徳心がある方なの?」
 なんという質問だろう。口に出してしまってから、後悔。
「……道徳心、はないかもしれないけど……。でも、仮にもここは、仏教国だぜ」
 ジルは、ちょっと困ったような表情をして、そう言った。
「それとも、わたしがうっかりあんな事を言ってしまったこと、が腹立たしいの?」
 ジルは、鼻で軽く笑うと、
「ううん。あれは、ちょっと面白かったよ。あの子たち、どうするつもりなんだろう?」
「海に……散歩?」
「違うよ。この先、明日や明後日、そしてこの旅の終わりのその先のことさ」
 わたしたちは、思わず、沈黙してしまう。
 南国の、粘っとした空気と、花々の艶やかな匂いにそぐわないと思われる、テクノミュージックが、けたたましく、頭上で鳴り響いている。頭が痛くなりそうだった。
 この旅の終わり。
 そうだ。そのことについて考えなければならないのは、彼らだけではない。わたしだって、そうなのだ。いつ終わらせればいいのだろう。そして、終わらせるつもりはあるのだろうか。