何だか、今日のわたしは、どうかしていた。
 昨夜、変な格好でそのまま眠ってしまったせいもあるだろう。寝きっていないような、まだ眠り足りないような、まだ起ききっていないような、中途半端な感じなのだ。
 砂浜を歩きながら、わたしは、サンダルを脱いだ。 真っ白の砂が陽に熱せられて、足の裏を焼くようだった。見渡す限りの砂浜が、白い泡の縁取りを施した、エメラルド色の水に洗われている。その真っ白な大地に咲き誇る、無数のカラフルなパラソルの色が、目に染みるようだった。
 その眩しさに目を細めながら、その辺りの“管理者”に100バーツ渡して、寝椅子に寝転がった。
 キャミソールの上のカーディガンを脱いで、うーんと伸びをする。と、突然の風に、柔らかな膝丈のシフォンスカートが、かなり大胆になびいた。大慌てで裾を押さえて、膝に、脱いだカーディガンを掛ける。ホッとしながら、横目でチラと辺りを窺うけれど、誰にも見られていないようだった。再び伸びをすると、寝椅子に体を預けて、やっと、力を抜いた。何だか、今朝起きてからずっと、いや、昨夜からずっと、気を張っていたような気がする。やっと休める、そう思いながら目を閉じると、裸足に風が、気持ち良かった。
 うとうとしかけながら、昨夜、不覚にも、まさに海辺のこのような寝椅子で、少し眠ってしまったことを思い出した。よく知らない男と一緒に居ながら。