全てが終わると、君代は煙草に火を付けた。


「…オレの部屋灰皿ねえよ」


何だか急に落ち着いた様子の君代に、オレの方で落ち着かない気持ちになった。


「携帯灰皿あるもん。…だけど…」

君代は大きく煙りを吐いた。


「純くん、初めてだったんだ。なんか嬉しい」


…スゲエ居心地悪いし。
君代が上から目線で物を言うのもやだったし、あの時の自分が吹っ飛ぶ感じも、…確かにその時はスゲエと思ったけど、
醒めた今では嫌になってくる。


君代の肌は何処から何処までも滑らかだったが、
その肌に触れた男はオレが最初ではなく、
それも相当な数の雰囲気が行為の最中に何度もあった。


…ヤキモチとかじゃない。


体育の授業で、ひたすら持久走をさせられたみたいな、虚しい疲労感。


はしゃぐ君代には絶対言えない。


「良かった?」


君代が体をピッタリ寄せて聞いてくる。


可愛い顔、綺麗な身体、長い脚を絡めてくる君代に、
さっきまでの倦怠は消えた。



…オレ、絶対絶対、ヤバイ。



…紀子に未練あるのに…



…君代の細い腰がいけないんだ。




……オレは目を閉じた、何も見えないように。