HAPPY DAYSはかなり手強くて、歌詞に乗せる段で、また作り直した。


様になってくると楽しくなってくる。


急に暗くなり始めた教室から、夕焼けが見える。
毅は突然、口をつぐむと夕日をじっと見詰めた。
何かを思い出したような、否定してるような眼差しには、毅しか知らない悲しみを垣間見した気がする。


日記やメールを盗み見したら、こんな後ろめたい気持ちになるんだろうか。



毅のそんな顔を見るのが辛くて、切なくて、訳の分からない込み上げる感情が、知らぬ間にオレの頬を濡らした。


「何を泣いてるの?」


我に返った毅が、オレの涙に驚いて顔を背ける。



「一人で悲しがるなよ、毅はオレと二人で夕日を見てるんだから」



「なんか、すごいな。純は。花巻純の純は純粋の純」



毅は笑ったが、オレの不思議ちゃんぶりを嘲笑った訳ではなく、安心感だったのでは、と思う。




毅にとってはノスタルジックな、オレにとってはカタルシスともいうべき、春の黄昏だった。



沈む夕日を一緒に見るというのは
同じ時間を共有することなんだと、初めて知った。