「やっと出たし。純くん超ひどくない?」

…やっぱり君代だ。


「何がひどいんでしょうか?」


「何回メールしても返信ないし、電話もでねえし、マジ切れ寸前。ヤバ超イケメンでなかったら絶対許さないぞ、だよ。」


「てか、許さないって別に構いませんけど」


「取り敢えず帰り待ち合わせしよ。純くんの学校の近くの公園に噴水あるじゃん、そこで5時。絶対ね!」


「…え?」


オレの返事を待たないで、電話は切れた。




「はあ?」



オレは行き場のない疑問を、既に切れた携帯にふった。



当然答えは帰らない。



毅はその様子を面白そうに眺めてる。


「純はヤバ超イケメンだから仕方ない」


…絶対、音漏れしてた。



「しつけえんだよ、このコ」
マジうざそうに言ったのに、毅は真剣そのものな目をして言った。


「瀧澤を好きならよく考えて行動することをオススメ致します」


「オレ、本当マジで君代にはその気ないから」



「キミヨって言うんだ、そのコ」



…墓穴掘ってるし。



「紀子は…紀子だから」


という言葉が自然と出たのは、紀子ママの事を思い出していたからだ。


「で、キミヨはキミヨか」


と読み違えた毅には言われてしまったが、オレはもう一度今度は声を出さないでつぶやいた。


「紀子は紀子」