花巻くんが教室にいるのが窓から見えた。

一緒にいるのは誰?

調度影になっていて分からない。

女の子?

それは勿論やだけど、

男子なら男子で心配。

花巻くん、男子受け悪いし。

はじめは花巻くんの外見に惹かれていたけど
段々仲良くなるにつれ、本当に真面目な頑張り屋さんで
時々、一生懸命さが空回りして浮いてるのが
からかいの対象になってるのを感じてからは
私が守ってあげたい、
に気持ちが育っていった。


花巻くんの大きな瞳に薄く涙の膜が出来ると
眉毛がほんの少し寄って、
泣くのをこらえているのがわかる。

そんな花巻くんはいつも以上に愛おしい。



初めてキスした時、花巻くんが震えていた。

私も震えた。

彼が、愛情でいっぱいになって胸が詰まるような気持ちになり、
うち震えていたのは間違いない。


唇をそっと離した時、
両腕をつかんだまま
私の目をじっと見て


「オレ、今すげえ幸せ。紀子の事、大切にするから」

と言った花巻くんの瞳はキラキラとして涙目になっていたから。

キスをして男の子が泣くなんて、びっくり。

それも遊んでそうな花巻くんが。

何だかそのギャップのあるピュアなところに、どんどん惹かれていく。

それも仕方がないくらい、顔も心も美しい花巻くん。


愛おしさで胸が苦しくなるくらい。