毅の様子がおかしくて、
でもまぁ、仲直りは出来たんだな、と一人納得した。


瀧澤が毅を部屋に連れて行ったから、それまでは君代と二人きり。

瀧澤のうちにいるせいか、なんか微妙な感じ。

どう微妙だかを説明しづらいけど、見つめ合うのもリビングルームに咎められてしまいそうな気分。


かと言って、ほとんど拉致したみたいな連れ出し方をしたのはオレだ。


君代の傍のソファーに腰を下ろし、自分の前髪をいじる。


「…純」


君代が声をかける。ちょこっと声が震えてる。

様子がおかしい?


実はさっきから瀧澤と話してる時の君代が少し青ざめていたから、眠くなったのかなと心配していた。


「君代大丈夫?眠いの?瀧澤に部屋に連れて行ってもらうか?」

激しく震えて首を振る。


「…純は?純は眠いの?」

「そうでもねぇ」

「じゃあ、私も起きてる」

そう言って急に肩に頭をもたれ掛けて来た。

「君代…」

どうしたの?と問い掛けようと顔を覗きこんだ瞬間、
君代は強くオレを抱きしめてキスをした。


少し驚いたが、黙ってついてきた君代への気持ちが、抱きしめ返させた。


君代はさらに強く、背中に回した手をしがみつくようにしてくる。


落ち着かせたくて、少し体を離そうとしたら、突然声を出して泣き出した。




ふと顔を上げるとドアには瀧澤が腕を組んでこちらを見ていた。